臓器売買

ガーナでも臓器売買が「結構ある」んだとは、知りませんでした。


これは庭で採れたパパイヤですが。


私のカウンターパート(CP)は、給料が支払われていないだけでなく、
年末から大変なストレスに晒されています。

時系列にしてみると、

12月上旬のこと。

CPが妻と結婚する時にプレゼントした綺麗な布、500セディ分(25000円位)が、
何者かに盗まれました。

イスラム教では、結婚の時に高価な布を贈る習慣があるそうです。
その貴重な布を、妻は寝室に大事に置いていたのですが、寝室を開けている間に
何者かが侵入して、布だけ取って行ったそうです。

それを聞くと、家に出入りしていた知り合いが怪しいと思うのですが、
犯人はまだ見つかっていません。

この事件の後、たまっていた妻の不満が爆発し、「お金がないから離婚したい」と。

給料がずーっと支払われていないのは、CPのせいじゃないんじゃないの。
奥さんにも働いてもらったら?と聞くと、

以前、彼女はソボロというハイビスカスジュース(これは美味しい。また今度
作り方を書いておきます。)を作って売っていたそうですが、
儲けにならなかったので、働くことに対して消極的になっていると。

その気になれば仕事はいくらでも、と言いたいんですが、
確かに、選択肢が少ないんですよねえ。

その後、二人は家庭内別居になりました。2歳に満たない息子がいるのですが、
妻には子育てする意欲もなくなってしまったので、
近所に住むCPのお母さんがお世話をしていると。

悲しいです。
妻をそんな女にさせてしまった泥棒が、憎いです。

人の人生めちゃくちゃにしやがって!!はよ捕まれ!!痛い目みろ!!!


・・・で、
今度は12月中旬のこと。

CPのお義父さんが急死しました。

亡くなる日の午前中、それまで元気だったお義父さんが急に担ぎ込まれた病院に
私もお見舞いに行きました。

呼吸が少し苦しそうで、脈はやや弱め、何より尿量が少ないのが気になったけど、
時々楽な方に体の向きを変えるように言うと、その通りにしてくれたり、
穏やかな表情で感謝の言葉を伝えてくれたり、
なんとバンクー&オクロシチューというヘビーなフードも美味しそうに食べたり
されていたので、CPも妻や家族も皆安心して、そのまま病院を後にしたのですが・・・

その日の夜、病棟内で誰も見ていない時間に、天に召されました。

享年75歳。生前は、ハーバリストと呼ばれていましたが、カウンセラーのような役割を
されていたそうです。


イスラム教では、誰かが亡くなった日は大忙しです。
当日か翌日には、ご遺体を土に埋めないといけないからです。
その前にお葬式を済ませてしまわないといけないので、死因をドクターに問い詰める
時間もありません。

そして、ご遺体はそのまま白い布でぐるぐる巻かれます。

イスラム教以外では大体、エンバーミングして死体安置所に長期間置かれます。
積み上げられる感じで。

翌日お葬式に行った時には、お顔を少し見せてもらった後、お祈りをして、
男性達だけで埋葬しに行かれました。
キリスト教のお葬式の時のように、感情むき出しで泣いている人はいませんでした。
みんな、どこで悲しみを表現してるんだろう。。。

ただ今回、CPの妻の父が亡くなった時にCPが妻と家族を支えたということで、
家庭内別居が毎日ではなくなって、お互いに少し歩み寄れたみたいです。
お義父さん、さすがです。

イスラム教のお葬式は初めてで、忙しいけど、シンプルで、それはそれでいい送り方だなあ
と思いました。


・・・最後は12月30日のこと。

ケープコースト〜タコラディ間の道路で、CPの兄が交通事故で死んでしまったのです。

兄が運転していた大型トラックの車体の下に何かのトラブルがあって、フラフラ運転
になった大型トラックは、乗用車やトロトロを巻き込んで、15人もの死者が出たそうです。

ニュースで見た時は、年末にまた派手な交通事故だなーぐらいの印象で、
まさかCPの兄弟が当事者なんて思いもしなかったので、聞いた時は本当にびっくりしました。

翌日の新聞にも載っていました。

イスラム教なので、前述した習慣に従って、CPは事故当日の30日に現場に向かい、
31日に埋めに行こうとしたそうなんですが、何とその時に、
何者かが病院の死体安置所から、兄の遺体から心臓と喉の部分を取って行った跡があったそうなんです。

「縫い合わせるのに200セディ(1万円位)くれ。」と死体安置所のスタッフから連絡があり、
現場に駆けつけると、見るも無残な姿が・・・。

CPが最初私に話した時は、
「知らない被害者の遺体が切り刻まれて、臓器が盗まれていた。」と言っていたのですが、
それを見た時のショックが大きすぎて、それが兄だと認めたくなかったのかなあと
今になって思います。

未亡人である兄の妻は小さな子供が2人いて、さらにまた妊娠していると。なんてこと・・・。

CPは、新聞の取材に協力することで、だんだん落ち着いて話せるようになりました。

「犯人はなんで取ったのかな?」と聞くと、

「病死ではない、交通事故死の遺体の臓器は、まだ機能が良くて価値があるとされていて、
高く売れるから」

ここで、やっと表題の臓器売買の話が出てきました。

「どこで売れるの?」

「伝統的なトリートメントをする所で」

「いくらぐらい?」

「少なくとも1個10000セディ(50000円)以上では売れる」

うわー。

「それをどうやってトリートメントにするの?」

「それをすり潰して、薬のようなものを作る」

わー・・・。そっか。そら、ガーナで移植はやってないよな。

そんな薬、絶対いらんわー。

・・・という、非常な事態に巻き込まれ続けるCPであります。
1月になっても、ちょこちょこケープコースト〜タコラディ間に行って調査しているみたいです。

私は一足先に、豆まきでもやろうかな。
とか考える日々です。