キラキラしたもの

先月日本から郵便物が届きました。
中には、DVD2枚、本1冊、写真1枚、絵葉書2枚、それにメッセージが入っていました。

ガーナで、こういう繊細なもの、芸術というものに飢えていたので、とても嬉しかったです。

早速DVD2枚をノートPCで観て、寝転びつつ本の文字を追いました。
言葉が、体に染み入るように入ってきました。

DVDはそれぞれ、映画監督をしている彼が作った、国際的なソプラノ歌手とピアニストの
日常、練習風景、インタビューなど。

静かだけど、声と音の持つ力が存分に引き出されていて、もの凄く迫力がありました。

より良いものを作るため、より高い地点に到達するために、
細かい事にこだわるという厳しさを、久しぶりに目の当りにしました。

日本人てすごいな。
これをガーナで観ることができたこともまた良かったです。

ガーナ人のカウンターパートに紹介してみると、ひたすら無言でじーっと観ていました。
まあ私も同じく無言でじーっと観るのですが、ガーナ人は、その辺でかかっている音楽と
違いすぎるからか、宇宙人でも見ているような目をしていました。


本の方は、タイトルが「人生の塩」。

著者のフランソワーズ・エリチェは、フランスの構造主義の人類学者、
レヴィ=ストロースの後継者だそうです。

帯には
「思い出をいくつも書き出す。ただそれだけで、あなたの人生が輝き始める。
生きてあることの、この上ない幸福と喜び。
世界が一瞬一瞬に与えてくれるものを感じ取るために、あなたがいまできること。」
とあります。

散文詩のように、人生の中で思い出したことをそのまま書いていく書き方が独特。
私も知っているようなガーナ、ブルキナファソの記述もありました。

例えば
「からからに乾いた喉をうるおす」

「巨大なバオバブの回りを一周する」

「お隣さんに寄ってひょうたんに入った熱燗の黍の実ビールをごちそうになる」

「フィールドワークの現場の生活すべてが、不便なことも含めてすべてが好き」

など。


気に入った所は

「つまらないことを選ぶのに時間をかける(そして重要なことは即座に決める)」

「街で出会った知らない女性に褒め言葉をかける」

「約束していた日や週や月を間違える」

「筋肉マンも板チョコのような胸の筋肉も見事とは思わない」

「その人の声の響きに身体が震える」

「うれしさと安心で胸がいっぱいになり、気力をとりもどす」

「好きになった人たちのことをいつまでも同じように考える」

・・・


帰国まであと2か月半。
日本では、2年間の出来事を、それも些細な事や瞬間を、何度も思い出すでしょう。
そんな時は、その輝きを忘れないために、私も人生の塩をつらつら書こうと思います。

郵便物を送ってくれた映画監督は、今度は京都の祇園祭の作品を作るそうです。

祇園祭までに帰れるのが、嬉しくもあり寂しくもあり。