エマのこと


初めて獲れたキャッサバ芋。近所に配っても余りある。

ガーナ人はよく、キャッサバ芋よりもヤム芋のほうがSWEETだと言うけれど、
苦くても、キャッサバはキャッサバの良さがある。
キャッサバからは美味しいビールも作れる。

畑仕事は、暇を持て余している近所のやんちゃ坊主に任せています。
特に勤勉に畑の世話をしてくれているのは、エマという少年。


嵐で倒れたプランテーンを元に戻してくれたり


パイナップルのヘタを植えてみたり


パパイヤが食べ頃かどうか知らせてくれたり


ヤギに葉っぱを食い荒らされた時、すぐに竹を拾ってきてヤギよけのフェンスを作ってくれたり
本当に働き者です。

エマには特別な感情を抱いてしまいます。

私は最初、彼には両親がいないのだと思っていました。
初めて会った時、エマはこっそりうちの畑に入って寝泊りしていて、
裸足で、着ているものが穴だらけで、いつもお腹を空かせていたからです。
13歳なのに学校にも行っていないというので、孤児だとばかり思っていました。

ところが、彼にはお母さんがいました。
彼のお父さんは、村に妻と4人の子どもを置いて、黙って逃げて行ったそうです。
一番下の子がまだ生後1か月の時。
酷い話。

長男であるエマは学校に通えません。13歳ならほとんどタダで学校に行けるのに。
登録して、教科書代や制服、鞄や文房具のお金がかかるだけです。

彼のお母さんは、服や靴を売る仕事をしながら4人の子育てをしていて、とても優しい人なのですが、そのお金すら払ってやれないと言うのです。何度かお願いしてもダメでした。

ああ・・・ガーナに生活保護があったらいいのに!!!

私はエマが好きで、控えめな性格や責任感の強さ、音楽とサッカーをやっている時のキラキラした顔が好きで、よっぽど彼が学校に行けるように援助しようかと思いました。

でも、私は来年の6月でガーナを去る身だし、後から来るボランティアのことも考えて、それは単に個人的な感情からくる援助かなと思って止めました。

でも、学校に行かずに暇を持て余しているのならと、文房具と楽器とサッカーボールと
スニーカーをあげました。お母さんにも、生活の足しになればと
古着や使わない食器をあげました。それらは全て嬉しそうに、使ってくれています。

あと、私のために何か働いてくれたら、1〜2GHC(50〜100円)をあげています。
すると、エマの家族は「助かった」という表情で喜んでくれます。
働かずに「金くれ」と言われてもあげませんが、働いて報酬を得るのは当然です。
エマと彼の家族の幸せそうな顔を見るのは、私の楽しみです。


しかし。
時々、これってボランティアとして正しくない行為なんだろうか。
と複雑な思いに駆られます。エマは家族の生活のために働かされている。
私は、エマを雇っている?
ますます学校に行けなくてもいい環境にしている?

これって、児童労働の類??


・・・じゃないと思いたいのですが、どうでしょう。

まあ、正しいボランティア活動ができなくても、いろんな人に迷惑がかからなければ、
それでいいと思っているのですが。