楽しみな師走


作りかけのヘルスセンターのトレーニングマシンに、とりあえず触ってみる同僚。


スクールヘルスであればまだ、無邪気で可愛い小中学生と関わることが楽しく、達成感もあり
しかも教師のようにずっと生徒たちと関わり続けることで出てくるような苦労も知らないので、
正直ナースと一緒にヘルスセンターの活動などをしているよりよっぽど楽なのですが、
12月中旬から学校は休みに入るので、カウンターパートと話し合った結果、
スクールヘルスは置いといて、新しいことをやってみようということになりました。

新しいことというのは

①小学校で手洗いの劇を作る。そしてムービーを作る。

②マーケットの日にスピーカー放送(名称はコミュニティインフォメーションセンター)
でヘルストークする。テーマは公衆衛生。
クリスマスの買い出しに集まる人に向けてと、店の人に向けて。

です。

①は来週 ②は12月中旬から始めようと、局長に予定表を出して許可が出ました。

マーケットに響き渡るスピーカー、インフォメーションセンターというものを
うちの地域の保健スタッフが啓発目的で使ったことはこれまでなかったそうなので、
マーケットに挨拶と打ち合わせに行きました。
10分喋っても20分喋っても1回使用料金が3セディ(約150円)とラジオに比べて格安でした。

地元のラジオなんて、去年までは保健施設の職員であればタダで使わしてくれていたのに、
今年は1時間200セディ(約1万円)とかいう額を言われたのです。
このバカみたいな値上げは、去年12月の大統領選挙に出馬したラジオ局のオーナーが、
地域住民の票も取れず、ボロ負けして逃げた結果の、赤字経営のせいだと言われています。
当然、局長からは啓発にラジオを使っていいとの許可はもう出ませんでしたし、
私たちも、1時間1万円もする価値のあるプログラムを企画実施することなどできません。
それにしても、去年まで毎週1時間の枠が、保健施設のために無料で提供されていたことは有難かったです。それでこそ住民のためのラジオ。私に選挙権があったならば、彼に一票入れたかも。


話がそれましたが、ここに来て珍しく師走って感じの忙しさになりそうです。
来週から2週間、午前中は病院に行って外来の待合室で結核の教育と検査の介助をする
プログラムがあり、その合間にマンスリーレポートの進捗状況のチェックと入力をして、
新しいヘルスセンターの環境整備もやりたいと思っているのです。

①にも②にも午後2時くらいから行くことになりますが、小学校も午前中は授業があるし、
マーケットも午前中は忙しくて放送を聞くどころではないので、双方にとって
都合のいいスケジュールが組めたと思います。

①の劇は、以前先輩隊員から教わって、これまでは日本人だけで小学校で演っていたもので、今回それをガーナ人だけで演じる試みです。
学期休み前で時間がないので、まずは一つの学校で1週間稽古してみて、ガーナ人のためになると判断できれば、来年は別の学校にも広げていこうと思っています。

劇の稽古をするにあたって、以前スクールヘルスに行ったことのある
カトリック系公立小学校に、協力してもらえないかと伺いました。


私を見ると何度も手洗いの歌を歌ってくれました。
左から2番目の子がモンチッチみたいで、目が釘付けになりました。

この小学校の周りは、町で一番衛生環境の悪い貧しい地域で、だからこそ
ここでやりたかったのですが、幸運にも校長がやる気のある方で、

何と、オーディションというものをして校長と私で8人の生徒を選びました。

といっても全校生徒に台本を読ませたわけではなく、適当に選んだ10人からの8人です。

劇の登場人物は4人なので、最終的に4人に絞らなければならないのですが、
校長は、「一つの役を二人に演らせてみて、うまい方に決めよう。」と。
なるほど。
一次審査、二次審査をするわけですね。
生徒に向かっては、「週末に台本読んで、各自自分のパートを練習してくるように。
棒読みはダメ。感情を込めるように。」との指導。

さらに、台本の私の英語でまずいところがあるらしく、(カウンターパートには
同じものを渡して確認をお願いしましたが、スルーしてしまったようです)
「台本を一部書き換えてもいい?週末、書き換えてくるよ。」と・・・。

ガーナでは報酬がない仕事にやる気を出せる人に出会うことが滅多にないので、
どうして、そんなにやる気を出してもらえるんですか。と聞いてみると、
高校〜大学で文学と言語学を勉強していて、私たちの力になれるかもしれないと思ったのと、私たちのやりたい事に興味がわいたからだとのこと。

・・・やっぱり勉強は大事だなと思いました。
勉強するかしないかで、人への接し方も、人生も全然変わります。
校長はこれまでこのような面倒もいろいろと引き受けて、世界を広げて来られたのでしょう。

私は英語にも演劇にも素人で、不安もありますが、心強いパートナーが現れたために
12月が楽しみになりました。



巡回活動を助けてくれるバイク。今月はよく乗りました。
交差点でエンストして、焦ったこともありました。
雨の後、すり鉢の粘土のようになった赤土の道で、転びそうで転ばないという
怖い思いもしました。

私が乗っているのは奥の赤くて可愛いHONDA CT110で、手前の青のかっこいいYAMAHA
は、新隊員用です。